BCP作成計画
何から始めるべきか
BCPも事業計画です。
良い事業計画は、事業全体からまんべんなくバランスよく考えられているものです。事業計画作成支援ツール「イノベーションマトリックス」を使って BCP を考えていきましょう。
イノベーションマトリックスは、「商品・サービス」を中心とした9つのマトリックス型に並ぶマスを考えることで事業計画を作成するツールです。
9つのマトリックスで表現される事業は、必ず社会の中に存在します。したがって、事業は絶えずその影響を受けています。自分たちで決め、行動できる範疇を「内部環境」と言い、自分たちの意志では抗うことができないけれど絶えず影響を受けているものを「外部環境」と言います。
つまり、BCP においては、外部環境が「想定される災害」であり、9つのマトリックスで表現される部分が、その対応策です。
イノベーションマトリックスは、シンプルに考えられるため、事業全体像を俯瞰して見ることができます。BCP は特定の部署、特定の行動について考えるのではなく、企業や事業全体でリスクヘッジをするための計画ですので、先ずはイノベーションマトリックスを用いて、全体像を定めてからBCPや事業継続計画を作成することをお勧めいたします。
【イノベーションマトリックス(9つのマスで事業全体から考えることができる事業計画作成ツール)
外部環境 | ||
---|---|---|
お客様 | 販売 チャンネル |
販売方法・ 促進 |
調達・ 生産(原価) |
商品・ サービス |
課金モデル (価格) |
有形資産 | ヒト | 無形資産 |
イノベーションマトリックスを使って、①現状、②想定されるリスク、③事前対策、初動対策について簡単にまとめてみましょう。
①「あなたの会社(事業)の現状」について、簡単にマトリックスを作成してみましょう。質問を参考にしながら表をダウンロードして書き込んでください。
【お客様】 ●主なお客様(と災害時における優先順位)は? |
【販売チャネル】 ●主な商品・サービスはどこで販売されているのか? ●販売窓口までの物流経路は? |
【販売方法】 ●どのように販売しているか? |
【調達・生産(原価)】 ●原材料はどこからどのように調達しているのか? ●主なお客様(と災害時における優先順位)は? ●下請け、製造パートナーの状況は? |
【商品・サービス】 ●主な商品・サービスと災害時における優先順位は? ●サプライチェーンにおいて、自らの事業活動が担う役割は? |
【課金モデル(価格)】 ●主な商品・サービスの価格(と値入率)は? ●売上の回収方法は?どのようなタイミングでどこから、どのように回収しているのか? |
【有形資産】 ●自社の持つ主な設備は? ●現預金はどのくらい持っているか? ●資金調達の状況は? ●商品在庫の状況は? |
【ヒト】 ●従業員は何人か? ●どんな組織か? ●雇用制度には、どのような特徴があるか? (地域の雇用を支えているか?) |
【無形資産】 ●どのような実績、信用があるか? ●自社の事業活動が担う地域、経済への役割は? ●どのようなネットワークを持っているのか? ●どのような技術やノウハウを有しているか? |
②想定されるリスクについて考えてみましょう。質問を参考にしながら表をダウンロードして書き込んでください。
【外部環境】想定される災害状況地震・水害・感染症 |
||
---|---|---|
【お客様】 ●お客様の状況におけるリスク |
【販売チャネル】 ●販売窓口に関するリスク ●販売窓口までの物流経路に関するリスク |
【販売方法】 ●販売方法に関するリスク |
【調達・生産(原価)】 ●原材料の調達に関するリスク ●製造現場(製造方法、製造体制)に関するリスク ●下請け、製造パートナーに関するリスク |
【商品・サービス】 ●商品(製品)・サービス供給に関するリスク |
【課金モデル(価格)】 ●商品・サービスの価格を変えなければならないリスク(変えることに関するリスク) ●売上の回収方法に関するリスク |
【有形資産】 ●自社の持つ主な設備(故障、使用不可)に関するリスク ●現預金ショート(資金繰り)に関するリスク ●商品在庫不足(過多、陳腐化)に関するリスク |
【ヒト】 ●従業員の安否(健康)に関するリスク ●雇用に関するリスク ●体制に関するリスク |
【無形資産】 ●信用へのリスク ●自社の事業活動が担う地域、経済への役割へのリスク ●生産ネットワーク、販売ネットワーク崩壊のリスク ●技術、ノウハウ等流出のリスク |
③対策を「事前」「初動」に分けて考えてください。該当するものにチェックを入れ、表をダウンロードして書き込んでください。
【お客様】 ■事前対策 □お客様の状況におけるリスク ■初動 □安否確認 □安全確保 □避難誘導 □お客様の情報収集 |
【販売チャネル】 ■事前対策 □避難経路の確保 □地震対策の点検 ■初動 □安全確保 □初期消火 □復旧優先度、復旧方法の決定 |
【販売方法】 ■事前対策 □災害時商品価格の決定 |
【調達・生産(原価)】 ●協力会社に関する取り組み ■事前対策 □復旧優先度、復旧方法の決定 ■初動 □安全確保 □初期消火 |
【商品・サービス】 ■事前対策 □普及優先度の決定 ■初動 □復旧優先度、復旧方法の決定 |
【課金モデル(価格)】 ■事前対策 □災害時商品価格の決定 |
【有形資産】 ●モノ(建物、機械、設・備)、カネ(資金繰り)に関する取り組み ■事前対策 □家具、機械、設備の固定 □避難経路の確保 □備蓄品、医療品の準備 □余裕のある資金繰り ■初動 □備蓄品、医療品の活用と管理 |
【ヒト】 ●ヒトに関する取り組み ■事前対策 □緊急時体制の構築 ■初動 □安否確認 □安全確保 □避難誘導 □対策本部の設置 |
【無形資産】 ●情報に関する取り組み ■事前対策 □地震対策の点検 □テスト、訓練、計画見直しに関する取り組み ■初動 □二次被害防止 □被害状況の確認、情報収集 |